<PGM世界ジュニアゴルフ選手権日本代表選抜大会 東日本決勝大会最終日>

 IMGA世界ジュニア(7月10~13日、米カリフォルニア州サンディエゴ)の日本代表14人が決まった。

 15―18歳の部男子は、吉田隼汰(茨城・日本ウェルネス高1年)がこの日69で回り、通算5オーバー149で優勝。2位には3位に1打差で蝉川泰果(大阪・興国高3年)が入って世界ジュニア代表入りした。同女子は石川茉友夏(群馬・前橋育英高3年)が通算4オーバーで優勝、1打差2位の六車日那乃(千葉・麗澤高2年)とともに初の世界ジュニア代表になった。13―14歳の部男子では、中野麟太朗(東京・明大付中野中3年)が通算8オーバーで優勝。代表2人目を争うプレーオフになり大野倖(千葉・旭中3年)が手にした。同女子は花田華梨(栃木・宝木中3年)が通算4オーバーで1位、1打差2位に榎本杏果(東京・新宿中3年)が入り、ともに2年連続の世界ジュニア代表となった。

 また、15-18歳の部男子1位の吉田に男子ツアー「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」出場権、13-14歳の部男子1位の中野に同大会の出場を争うAbemaTVツアー「HEIWA・PGM ChallengeⅠ~Road to CHAMPIONSHIP」出場権がそれぞれ与えられた。

 これで西日本決勝大会、6歳以下の部決勝大会を含めて、日本代表30人が決定した。今大会で決定したIMGA世界ジュニア日本代表は以下の通り。

15―18歳の部
【男子】 【1位】吉田隼汰(茨城・日本ウェルネス高1年)=149
【2位】蝉川泰果(大阪・興国高3年)=154
【女子】 【1位】石川茉友夏(群馬・前橋育英高3年)=148
【2位】六車日那乃(千葉・麗澤高2年)=149
13―14歳の部
【男子】 【1位】中野麟太朗(東京・明大付中野中3年)=152
【2位】大野倖(千葉・旭中3年)=154
【女子】 【1位】花田華梨(栃木・宝木中3年)=148
【2位】榎本杏果(東京・新宿中3年)=149
11―12歳の部
【男子】 【1位】本大志(神奈川・末吉中1年)=158
【女子】 【1位】藤代成実(埼玉・八潮中1年)=156
9―10歳の部
【男子】 【1位】渋井晃太郎(神奈川・瀬戸ケ谷小5年)=169
【女子】 【1位】斎藤碧夏(北海道・北光小5年)=161
7―8歳の部
【男子】 【1位】石口寛樹(奈良・大正小3年)=156
【女子】 【1位】渡部琴(東京・Tokyo West International School3年)=167
【協会オフィシャルライター・赤坂厚】

 

【大会雑観】

15-18歳の部男子

15-18歳の部男子は、吉田隼汰(茨城・日本ウェルネス高1年)が通算5オーバー149で逆転優勝し、初めての世界ジュニア代表を決めた。混戦となった2人目は蝉川泰果(大阪・興国高3年)が通算10オーバーで亥飼台を1打差で振り切って、2013年以来の世界ジュニア出場となった。
吉田隼汰(左)、蝉川泰果
吉田隼汰(左)、蝉川泰果

この日69の好スコアをたたき出した吉田は「うれしいのとありがたいのとの両方です」と、笑顔を見せた。感謝するのは両親、小学校3年生から通っている埼玉県内のゴルフ練習場「アーリーバード」、父ひろしさんが会員のゴルフ場「あさひケ丘CC」の3つだという。首位に3打差でスタート。2打差で折り返した後半アウトの1番で3メートルのバーディーパットがカップのふちにとまりそうになってから落ちて「波に乗れた」という。2番パー5で110ヤードの第3打を残したが「あさひケ丘は会員に無料でプレーさせてくれるのでいつも回っていて、同じような距離をサンドウエッジだと戻ってくるのを知っていたのでピッチングで軽く打った」と2メートルにつける連続バーディー。6番パー5の第3打では30ヤードのアプローチだったが「練習場に30ヤードの看板があって、いつも狙っていたんで自信があった」と1メートルにつけた。後半4バーディー、1ボギーの33で回ってこの日69で回った。男子ツアー「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」出場権も獲得。「これで調子に乗らないで、最後まであきらめないで戦ってきたいです」と、意欲を見せていた。
吉田隼汰(茨城・日本ウェルネス高1年)
吉田隼汰(茨城・日本ウェルネス高1年)
吉田隼汰×PGM田中社長
吉田隼汰×PGM田中社長

蝉川は前半でいったんは首位に立ったが、後半(アウト)で崩れた。「優勝できず悔しい。まだ、世界ジュニアのことは考えられないです」と、ホールアウト直後は思いをにじませた。インスタートで14番3メートル、17番6メートルを入れるなど前半はパープレーでトップに。しかし「上がりでやってしまった」と7番パー3で右ラフから乗らずダブルボギー、8番で60センチのパーパットを外した。2013年11-12歳の部まで3年連続で出場し、今回は5年ぶりの世界舞台。当時は先輩たちのプレーを見に15-18歳の部男子の会場、トーリーパインズGCを歩いて回った。「コースは覚えていますが距離が今と違うので。今日のようにパッティングに苦労したら、トーリーパインズでは通じないと思う。今日(の悔しさ)をきっかけに、調子を上げて世界ジュニアで頑張りたい」と前向きに話した。
蝉川泰果(大阪・興国高3年)
蝉川泰果(大阪・興国高3年)

15-18歳の部女子

15-18歳の部女子は、石川茉友夏(まゆか、群馬・前橋育英高3年)と六車日那乃(千葉・麗澤高2年)が代表となった。
石川茉友夏(左)、六車日那乃
石川茉友夏(左)、六車日那乃

石川は最終日に初日首位の六車との4打差を逆転、通算4オーバー148で優勝した。初めて進んだ東日本決勝大会で世界ジュニア切符をつかみ「めちゃ、うれしい。トップで行けるとは思っていなかった」とニコニコ。この日は「パッティングがよかった」という。パーオンはするものの「ピンと逆のほうに行って、ロングパットが多かったけど、2パットで行けた」と振り返る。大会前に練習ラウンドができず、前日はぶっつけ本番で「下見をしました」といい、最終日につなげた。世界ジュニアに向けては「メンタルが弱いのと、下半身が弱いので、鍛えないと。今は家の周りを走っています」という。本戦までに国内での試合がいくつかあるが「全部優勝して、その勢いで行きたい」と、威勢がよかった。
石川茉友夏(群馬・前橋育英高3年)
石川茉友夏(群馬・前橋育英高3年)

六車は、首位を守れなかった悔しさで涙を流した。4打差を石川に追いつかれたが、同スコアのまま18番パー5に。第2打を右ラフに入れ「バーディーを取りたいという欲が出てしまって」と、ギリギリを狙ったがバンカーに落としてしまい、ボギーとして石川に1打負けた。「自滅してしまったのが悔しい。出場できるのはうれしいけどトップで出たかった」また涙。「世界ジュニアは大舞台だし、貴重な経験ができると思います。コースマネジメントをしっかりしたい。今日もショットはいいのに危険な方へ行ってしまった」と、これからの課題を口にした。
六車日那乃(千葉・麗澤高2年)
六車日那乃(千葉・麗澤高2年)

13-14歳の部男子

13-14歳の部男子は中野麟太朗(東京・明大付中野中3年)が粘りのゴルフで1オーバー73をマークし、通算8オーバー152で5打差逆転優勝を果たした。2位は大野倖(千葉・旭中3年)と竹原佳吾(神奈川・森村学園中等部3年)が通算11オーバーで並んでプレーオフとなり、5ホールの激闘の末、大野が勝って、2014年9-10歳の部以来の世界ジュニア出場となる。
中野麟太朗(左)、大野倖
中野麟太朗(左)、大野倖

中野は「昨日、首位と5打差あったんで2位に入れたらと思ったんですけど、ハーフを終わったらみんなスコアを崩していたんで、後半頑張りました」という。後半アウトの3番でピン下7メートルのバーディーパットを沈めた。「アイアンがよくて、ほとんどパーオンしていた。3パットもなかったのがよかった」と振り返った。小3からこの予選に挑戦。いつも地区予選で落ちていたが、今回初めて東日本決勝大会に進み、その勢いで世界ジュニア代表まで手にした。「うれしくて、信じられないです」と笑った。飛躍の要因は身長も176センチに伸び「中2になってから、飛距離が260ヤードぐらいになって、バーディーを狙えるゴルフができるようになったこと」という。世界ジュニアに向けては「パーオンできてチャンスは作れるようになったけど、肝心のバーディーパットを外しているので、そこを練習したい」と課題を挙げた。
中野麟太朗(東京・明大付中野中3年)
中野麟太朗(東京・明大付中野中3年)

5ホールのプレーオフを戦った大野は「1位で行きたかった」と、がっくりした。「仲がいいので緊張しなかった」という竹原とのプレーオフ5ホール目に4メートルのバーディーを決めた。「世界ジュニアでは出る以上は勝ちに行きます」と宣言。4月初めの千葉オープンで4、5パットをしてからパターを替えた。「まだ慣れていないんですけど、、思った通りのところに打てるので、パッティングの練習をしていきます」と話していた。
大野倖(千葉・旭中3年)
大野倖(千葉・旭中3年)

13-14歳の部女子

13-14歳の部女子は、昨年の世界ジュニア13-14歳の部代表の花田華梨(栃木・宝木中3年)が4オーバー148で1位、榎本杏果(東京・新宿中3年)が1打差2位でともに2年連続同カテゴリーの世界ジュニア代表となった。
花田華梨(左)、榎本杏果
花田華梨(左)、榎本杏果

初日首位で逃げ切った花田は「とにかくうれしい。去年と同じメンバーで行けるのがうれしい」とニコニコ。腰を痛めて半年ほどゴルフができず、復帰後初試合だった前週の関東女子アマ予選でも落選し「自信を無くしていた」という。「この試合で勝てたことがうれしい」と、自信も回復した様子。この日は15番で奥から15メートル、18番ではピン右10メートルの長いパットが入った。「一緒に回った人(榎本、横山珠々奈)といい雰囲気で回れた。終始笑顔でできました」という。世界ジュニアに向けては「体のケアをしっかりやること。試合の勘を取り戻して、ショットの正確性をつけること」という。昨年は14位に終わった。「悪くてもシード権を取りたい」と意欲を見せた。
花田華梨(栃木・宝木中3年)
花田華梨(栃木・宝木中3年)

榎本は「ホント、うれしいです」といい「世界ジュニアに行けるのもそうなんですけど、美浦GCで2日間140台で回れたことがうれしい」と、難コースを相手にしてこちらも自信になった。この日は「ピンを無理に狙わなかった」と、振られていたピン位置に惑わされず、自分のやり方を貫けた。「去年の世界ジュニアでは2つ忘れ物をした。生活面で制服をホテルに忘れてきちゃったし、成績もひどかった(60位)。生活面をしっかりすることと、シード権を取るのが目標」と笑った。そのためには「洋芝が初めてで対応できなかったので、その対策をすることと、笑顔でプレーできるようにしたい」と話していた。
榎本杏果(東京・新宿中3年)
榎本杏果(東京・新宿中3年)

 

【大会コメント】

本大志(神奈川・末吉中1年)
本大志(神奈川・末吉中1年)
本大志(神奈川・末吉中1年)
◇11―12歳の部男子代表の本大志(神奈川・末吉中1年)◇
「思い通りに行かなかったけど、優勝できてうれしい。最終9番で1メートルを外して3パットのボギーにしてしまった。(亥飼陽との)プレーオフは相手が3パットして決まったけど、僕も1メートルぐらいのパーパットが残っていて、気持ちはぎりぎりだった。でも普段から1メートルのパットを家で練習しているので、いつも通りやれば入ると思った。北海道予選からでて、北海道の代表として頑張ってとみんなに言われたので、代表になってよかった。世界ジュニアでは本調子なら勝てると思う。3日間、しっかりやりたい」
藤代成実(埼玉・八潮中1年)
藤代成実(埼玉・八潮中1年)
藤代成実(埼玉・八潮中1年)
◇11-12歳の部女子代表の藤代成実(埼玉・八潮中1年)◇
「最後、9番で50センチ外してがっかりした。6歳からずっと世界ジュニアに出ている(本戦シード獲得)けど、初めてここ(東日本決勝大会)に来て、すばらしいコースで守りのプレーをした。去年よりは飛距離とか出ていると思う。今日はフェアウエーに行くことを意識してやった。世界ジュニアまでにもう少し飛距離を伸ばしたい」
斎藤碧夏(北海道・北光小5年)
斎藤碧夏(北海道・北光小5年)
斎藤碧夏(北海道・北光小5年)
◇9-10歳の部女子代表の斎藤碧夏(あいな、北海道・北光小5年)◇
「(瀬谷里美との)プレーオフは3打目を打つ前に相手がギブアップしたので決まった。勝ててよかった。去年の東日本決勝大会は最下位だったから。2日間70台を出すのが目標だった。世界ジュニアまでに、アイアンをもっと曲げないように練習する。英会話も習っている。5位以内に入れるように頑張る」
石口寛樹(奈良・大正小3年)
石口寛樹(奈良・大正小3年)
石口寛樹(奈良・大正小3年)
◇7―8歳の部男子代表の石口寛樹(奈良・大正小3年)◇
「西日本決勝大会で負けたから、結構うれしい。今までで一番うれしいかも。今回は得意のウッドがよかった。練習ラウンドよりもバーディーが取れた。優勝したからパパと、ママと、おばあちゃんからご褒美がもらえるからうれしい。世界ジュニアまでにパターをもっと練習する。楽しくプレーする」
渡部琴(東京・TTokyo West International School3年)
渡部琴(東京・Tokyo West International School3年)
渡部琴(東京・Tokyo West International School3年)
◇7-8歳の部女子代表の渡部琴(東京・Tokyo West International School3年)◇
「すごいうれしい。みんなに応援してもらったのと、(飯田)柚月ちゃんと一緒に回れたのがうれしかった。今日も同じところに球があったりして仲良しだった。よかったのは15番で1メートルのバーディーが取れた。チャンスだと思いました。アメリカにパパとママを連れていけて、JAPANのユニホームを着られるのがうれしい。バンカーショットが苦手で今日もダブルスコアをたたいちゃったから、もっと練習して、世界ジュニアで優勝を目指します」