<PGM世界ジュニアゴルフ選手権日本代表選抜大会 東日本決勝大会最終日>

 IMGA世界ジュニアゴルフ選手権(7月8~10日、米カリフォルニア州サンディエゴ)の代表14人(13―14歳の部以上男女各2人、11―12歳の部以下男女各1人)が決まった。

 強風の中でサバイバル戦となったが、15―18歳の部男子は昨年の世界ジュニア代表の中山大生(おおき、千葉・千葉黎明高3年)が後半爆発し、最終9番で第2打をカップインさせるイーグルを奪うなど31の快スコアをマークして通算2オーバーで逆転優勝。混戦の2位争いは小谷海斗(東京・代々木高3年)が通算6オーバーで3位を1打振り切って2位に入り、初の日本代表入りした。

 同女子は、西澤美李(東京・共立女子第二高3年)が強風の中を1オーバー73の好スコアで回って通算2オーバーで優勝。第1日首位の田村萌来美(もなみ、茨城・ルネサンス高3年)が76をたたいたが粘って通算3オーバーで2位となって、ともに初めての日本代表となった。

 13-14歳の部男子は混戦となり、田子吏央斗(りおと、埼玉・埼玉栄中2年)が73で回り通算6オーバー150で逆転優勝し、高柳大河(愛知・鳴海中2年)が通算9オーバーで2位争いを制してともに初の日本代表となった。

 同女子も混戦となったが、佐藤心裕(みゆう、兵庫・有野北中3年)が通算6オーバー150で1位、岩永梨花(りんか、兵庫・塚口中2年)が7オーバー151で3位グループに1打差の2位に食い込んで、ともに逆転で初の日本代表を手にした。

 IMGA世界ジュニアゴルフ選手権代表は以下の通り。先に決定した西日本ブロックの代表14人、昨年本戦でシード権を獲得した選手とともに、世界ジュニア日本代表選手団として出場する。

▽15―18歳の部男子
【1位】中山大生(千葉・千葉黎明高3年)=146
【2位】小谷海斗(東京・代々木高3年)=150
▽同女子
【1位】西澤美李(東京・共立女子第二高3年)=146
【2位】田村萌来美(茨城・ルネサンス高3年)=147
▽13―14歳の部男子
【1位】田子吏央斗(埼玉・埼玉栄中2年)=150
【2位】高柳大河(愛知・鳴海中2年)=153
▽同女子
【1位】佐藤心裕(兵庫・有野北中3年)=150
【2位】岩永梨花(兵庫・塚口中2年)=151
▽11―12歳の部男子
【1位】稲葉輝海(東京・霞台中1年)=150
▽同女子
【1位】本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)=151
▽9―10歳の部男子
【1位】額賀大雅(茨城・学園の森義務教育学校5年)=162
▽同女子
【1位】南愛美(千葉・加茂学園4年)=153
▽7―8歳の部男子
【1位】清水奏雅(愛知・西陵小3年)=150
▽同女子
【1位】大竹紗楽(愛知・長久手東小3年)=154
【協会広報ライター・赤坂厚】

雑観

15―18歳の部男子

中山大生(千葉・千葉黎明高3年)

中山大生(千葉・千葉黎明高3年)

小谷海斗(東京・代々木高3年)

小谷海斗(東京・代々木高3年)

15ー18歳の部男子で日本代表となり、優勝した中山(右)を背負う小谷

15ー18歳の部男子で日本代表となり、優勝した中山(右)を背負う小谷

 強風の中でサバイバル戦となったが、15―18歳の部男子では昨年の世界ジュニア代表の中山大生(おおき、千葉・千葉黎明高3年)が後半爆発し、最終9番で第2打をカップインさせるイーグルを奪うなど31の快スコアをマークして通算2オーバーで逆転優勝。混戦の2位争いは小谷海斗(東京・代々木高3年)が通算6オーバーで3位を1打振り切って2位に入り、初の日本代表入りした。

 中山はインスタートで前半42をたたいて、いったんは日本代表争いから遠ざかった。「後半もボギースタートだったんですけど、まだいけると思った」と、あきらめなかった。2、3番連続バーディーでリズムが出た。5番から3連続バーディーで、スコアを落としていく上位陣を一気に抜き去って首位へ。最終9番では残り100ヤードを52度のウエッジで直接入れるイーグルを記録。「ゾーンに入りました」とアウト31で回り、終わってみれば2位に4打差をつけて、2年連続の日本代表の座を手にした。

 昨年は同じカテゴリーで世界ジュニアに出場したが、天候不良のため実施された予選で落ちた。「飛距離が全然足りなかった。60ヤードぐらい置いて行かれた」と世界の力を肌で感じた。「飛距離(270~280ヤード)をもう少し延ばしていきたい。去年の経験を生かしたい」と話した。

 中山の大逆転で2位争いが激化したが、抜け出したのが後半のスタート時点で首位に立っていた小谷。2位が何度も入れ替わる中で「自分がやってきたことをやろう」と開き直り、3位に1打リードで最終9番へ。グリーン左に外したアプローチで手にしたのはパター。30センチに寄せたが「きょう1回外していたので、ドキドキした」と、これを決めて2位を確保した。

 初めての世界ジュニア代表に、出身が同じ千葉県の中山と抱き合って、たたえ合った。「海外のゴルフ場、しかもトーリーパインズを経験できる。世界の選手のゴルフを見たいです。しっかり味わってこれからに生かしたい」と目を輝かせた。「自分がやってきたことを出すだけ」と話したが、中山から飛距離のことを聞き「自分もトレーニングしていきます」と課題を見つけた。

15―18歳の部女子

西澤美李(東京・共立女子第二高3年)

西澤美李(東京・共立女子第二高3年)

田村萌来美(茨城・ルネサンス高3年)

田村萌来美(茨城・ルネサンス高3年)

15―18歳の部女子で日本代表を射止めた西澤(右)と田村

15―18歳の部女子で日本代表を射止めた西澤(右)と田村

 15―18歳の部女子は、西澤美李(東京・共立女子第二高3年)が強風の中を1オーバー73の好スコアで回って通算2オーバーで優勝。第1日首位の田村萌来美(もなみ、茨城・ルネサンス高3年)が76をたたいたが粘って通算3オーバーで2位となって、ともに初めての日本代表となった。

 首位に2打差2位からスタートした西澤は、3番でバーディーが先行したが2つボギーをたたいて前半1オーバー、通算2オーバーで折り返した。強風の中でスコアを崩す選手が多く、10番以降パーを積み重ねているうちに、首位に立って、そのまま逃げ切った。関東予選②ではカウントバックで予選落ちしたが、欠場者が出て繰り上げ出場のチャンスをつかんで初の日本代表となった。

 「2位には入れればと思っていました。OBすれすれとか何回もあったけど、後半全部パーで粘れたのがよかった」と笑顔を見せた。世界ジュニアに向けて「ドライバーをベーンと飛ばして、ピンにビタビタつけるゴルフをしたい」と笑い「しなりを使ったスイングをしようとしているので、緊張感の中でもできるようにしたい」と課題を挙げた。

 第1日トップで出た田村は、前半は2オーバーでこらえたが、後半は13番から3連続ボギーなどで後退し、混戦を作り出した。「セカンドショットが左右にぶれて辛かったです」と振り返り「パットで粘れた。17番で3位と2打差と知って、行けるかなと思いました。18番パー5の第2打で右バンカーに入れたんですけど、6メートルぐらいに出してそれが入った」とバーディーでダメ押しして2位を確保した。

 「この大会でショットがぶれたのでまた一からやり直したい」といい、初めての世界ジュニアでは「得意のパターで勝負したい。ティーショットを大事にしたい」と意欲を見せていた。

13―14歳の部女子

佐藤心裕(兵庫・有野北中3年)

佐藤心裕(兵庫・有野北中3年)

岩永梨花(兵庫・塚口中2年)

岩永梨花(兵庫・塚口中2年)

13―14歳の部女子代表・佐藤心裕(右)と岩永梨花

13―14歳の部女子代表・佐藤心裕(右)と岩永梨花

 13―14歳の部女子は強風の影響で混戦となったが、佐藤心裕(みゆう、兵庫・有野北中3年)が通算6オーバー150で1位、岩永梨花(りんか、兵庫・塚口中2年)が7オーバー151で3位グループに1打差の2位に食い込んで、ともに最終組の1つ前の組から逆転で初の日本代表を手にした。

 佐藤は「8番と17番で10メートルぐらいのパーパットが入った。よっしゃ、来てるかなと思いました」という。いい流れを切らさずに前半を1アンダーと伸ばし、最終組がスコアを崩して首位に立った。後半は14番までに3つスコアを落として混戦を作り出したが、16番でバーディーを奪って抜け出した。

 「ホールアウトしてから代表と知って、うれしくてウキウキしました」と笑う。冬から坂道ダッシュやメディシンボール投げなどで体を鍛えはじめ、数カ月で飛距離が10ヤード近く伸びて、実感している。初めての世界ジュニアに向けて「今回の予選、決勝を超えるようなゴルフをしたい」と意気込んだ。

 岩永は「悲願」ともいえる代表入り。「もう9回ぐらいは(決勝大会に)挑戦してきた。やっと行けます」と、うれしさよりもほっとしたような表情を見せた。この日は「ドライバーが左の木、右の木に当たって」とショットがぶれたが、中に戻ってくるなど致命傷にならず、8、9番連続バーディーが「大きかった」という。抜いたり抜かれたりの混戦で、ホールアウト後に最終組の速報を見守って、日本代表入りを知った。

 JGAナショナルチームの姉・杏奈(大阪桐蔭高2年)が昨年世界ジュニアの15―18歳の部6位でシード権を取っており、姉妹出場となる。「自分のベストを尽くして上位を目指し、できれば優勝したいと思います。ショートパットを入れられるようにして、アプローチを1メートルぐらいには寄せられるようにしていきたい」とこちらも意欲を見せた。

13-14歳の部男子

田子吏央斗(埼玉・埼玉栄中2年)

田子吏央斗(埼玉・埼玉栄中2年)

高柳大河(愛知・鳴海中2年)

高柳大河(愛知・鳴海中2年)

13-14歳の部男子代表・田子吏央斗(右)と高柳大河

13-14歳の部男子代表・田子吏央斗(右)と高柳大河

 13-14歳の部男子は混戦となり、田子吏央斗(りおと、埼玉・埼玉栄中2年)が73で回り通算6オーバー150で逆転優勝し、高柳大河(愛知・鳴海中2年)が通算9オーバーで2位争いを制してともに初の日本代表となった。

 首位に1打差で最終組の1つ前でインからスタートした田子は「10番ティーで緊張していた」という。パーを積み重ねていくうちに落ち着いてきて、15番で1メートル弱につけてバーディーを奪った。前半を1アンダーで折り返し、他の選手がスコアを崩していく中で首位に立った。後半は「1打差、2打差で接戦だったので、ずっと速報を見ながらプレーしました」という。7番で奥のカラーから5メートルを入れて抜け出した時に「行けると思った」という。

 初の日本代表に「めちゃくちゃなりたかった」と笑顔を見せた。最近は体力をつけるトレーニングも取り入れており「世界ジュニアの3日間を毎日同じようにプレーしたい。飛距離も伸びてきている」と自信を見せた。

 高柳は前半のインで40をたたき、一度は後退した。それでもあきらめずに、後半は1番で50センチについてバーディー。5番でもバーディーを奪い、上位がスコアを落としてきて、するすると順位を上げた。9番で1メートル弱のバーディーパットを外して、プレーオフを覚悟したというが、2位を確保した。

 昨年は東日本決勝大会11―12歳の部で最終日に3打差を逆転されて日本代表を逃してから「1年間、日本代表になるために、全体的にまとめることを意識して練習してきました」という。「世界ジュニアまでにアイアンの精度をもっと上げて、ドライバーは曲がらないようにしたい。毎日同じように打てるようにしたい」と意欲を見せた。

 

コメント

▽11―12歳の部男子日本代表の稲葉輝海(東京・霞台中1年)

稲葉輝海(東京・霞台中1年)

稲葉輝海(東京・霞台中1年)

「風が強かったけど、気にしないことにしました。前半はジャッジミスが多かったけど、あきらめずにやって、9番でバーディー取って、そこから耐えました。16、17番のボギーで中多くんに1打差に迫られたけど、最後は弱さが出ないようにポジティブにやりました。耐えるゴルフは今後もやっていきたい。今年はチャンスイヤー(カテゴリーの年長)なので、優勝、最低シード権を取りたい。トレーニングをいっぱいやって、ショットの精度を上げる」

▽11―12歳の部女子日本代表の本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)

本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)

本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)

「前半(インスタート)はやばくて、3位までにも入らないかと思った。6番のバーディーで首位に並んで、7番で相手(2位のボギーでトップになった。最後の9番で3パットしたらダメなので、2パットで行けるように寄せた。代表はうれしいけど、目標のスコア(4アンダー)に届かんかったから…。世界ジュニアは、今年はチャンスイヤー。去年は初めて緊張して、焦ってばっかりいた。今年は緊張しないでいつも通りで頑張りたい」

▽9―10歳の部男子日本代表の額賀大雅(茨城・学園の森義務教育学校5年)

額賀大雅(茨城・学園の森義務教育学校5年)

額賀大雅(茨城・学園の森義務教育学校5年)

「正直、今日のゴルフはあまりよくなかった。緊張感があった。前半バーディー1つで少なくて、後半はバーディーを2つ取った。途中スコア速報を見ていたけど、ダボやボギーがどんどん出たんで気にしなかった。17番でバーディー取り返して、18番のティーグラウンドで2位と3打差と知って、勝てたかなと思った。世界ジュニアでは3日間、心を落ち着かせて、いいスコアを出して、シード権を取りたい。ドライバーやウッド系がまっすぐと飛ぶようにしていく」

▽9―10歳の部女子日本代表の南愛美(千葉・加茂学園4年)

南愛美(千葉・加茂学園4年)

南愛美(千葉・加茂学園4年)

「調子は良かった。ロングパットが結構入った。5歩ぐらいのパーパットがほぼ決まった。16番終わって2位と3打差あったので、勝ったかなと思った。17、18番は楽しくやろうと思った。世界ジュニアにまた出られてうれしい。頑張っていいスコアを出したい。できればシード権は取りたい。パットとアプローチを完ぺきしていく」

▽7―8歳の部男子日本代表の清水奏雅(愛知・西陵小3年)

清水奏雅(愛知・西陵小3年)

清水奏雅(愛知・西陵小3年)

「バーディーは6番の1つだだけだった。1日目の方がよかった(4バーディー)。なんか、アイアンが近くに寄らなくて、ダフったりしていた。アプローチで寄せたんだけど、パットが入らなかった。でも代表になって、めっちゃうれしいです。世界ジュニアではイーブンぐらいで回る。毎日、片手打ちを300球ぐらいやる」

▽7-8歳の部女子日本代表の大竹紗楽(愛知・長久手東小3年)

大竹紗楽(愛知・長久手東小3年)

大竹紗楽(愛知・長久手東小3年)

「楽しくゴルフができた。みんなで回れて楽しかった。昨日より良かった。パターがよかったから。代表になったのはうれしいけど、みんなで一緒に行きたかった。世界ジュニアでは集中してゴルフをしたい。ドライバーをもうちょっと距離を飛ばせるようにしたい」