<Uswing Mojing世界ジュニアゴルフ選手権 最終日>
15―18歳の部女子で岩永杏奈(大阪・大阪桐蔭高2年)、13-14歳の部で岩永梨花(りんか、兵庫・塚口中2年)がともにプレーオフを制して優勝し、日本代表選手団として初めての「姉妹世界一」を手にした。姉杏奈は通算6アンダーでアメリア・ハリス(オーストラリア)とプレーオフとなり、1ホール目でバーディーを奪って下した。13―14歳の部女子の妹梨花はアナニャ・スード(インド)と通算14アンダーでプレーオフとなり、こちらも1ホール目でバーディーを決めて優勝した。
11―12歳の部女子では本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)が通算10アンダーで2位に4打差をつけて初優勝した。7―8歳の部女子では小澤蘭(東京・幸小3年)が通算2オーバーで、2位に9打差をつけて圧勝。日本代表選手団として初めて女子5カテゴリーのうち4カテゴリーを制する活躍を見せ、女子のレベルの高さを世界に示した。
男子では13-14歳の部で高柳大河(愛知・鳴海中2年)が3位に入る健闘を見せた。11―12歳の部では福井誠ノ介(愛知・春木中1年)が5位に入った。
優勝者には2年間のシード権が与えられ、順位による来年のシード権は大会後に発表となるが、例年実績では15-18歳の部男女10位、その他のカテゴリーは男子6位、女子5位以内となっている。
◆Uswing Mojing世界ジュニアゴルフ日本代表選手団最終日成績
▽7-8歳男子(シンギングヒルズGCオークグレンC=4477ヤード、パー73)
【1位】スミス(オーストラリア)=213
【8位】清水奏雅(愛知・西陵小3年)=230
【11位】周参見悠生(大阪・奥坂小3年)=232
▽7―8歳女子(シンギングヒルズGCオークグレンC=4144ヤード、パー72)
【1位】小澤蘭(東京・幸小3年)=218
【3位】大竹紗楽(愛知・長久手東小3年)=233
【3位】髙森心花(茨城・息栖小3年)=233
▽9―10歳男子(シャドー・リッジGC=5037ヤード、パー72)
【1位】スリサンワーン(タイ)=208
【18位】久保山友斗(愛知・荻谷小4年)=221
【24位】額賀大雅(茨城・学園の森義務教育学校5年)=223
【24位】佐伯嶺斗(大阪・錦小5年)=223
【28位】山田光之助(沖縄・嘉芸小4年)=225
【34位】近藤大河(千葉・加茂学園5年)=227
▽9-10歳女子(シンギングヒルズGCオークグレンC=4649ヤード、パー72)
【1位】カンサ(タイ)=203
【7位】常住美結(千葉・中野木小4年)=213
【7位】村上聖奈(兵庫・逆瀬台小5年)=213
【22位】南愛美(千葉・加茂学園4年)=222
▽11―12歳男子(エル・カミノCC=5893ヤード、パー72)
【1位】シュ(中国)=210
【5位】福井誠ノ介(愛知・春木中1年)=215
【26位】稲葉輝海(東京・霞台中1年)=221
【43位】高瀬莉空(香川・高松第一中1年)=226
▽11―12歳女子(ザ・ハイツGC=5655ヤード、パー72)
【1位】本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)=206
【3位】道上稀唯(兵庫・滝川第二中1年)=211
【4位】高橋なつ希(東京・入新井第五小6年)=212
【5位】大栗愛珠(千葉・暁星国際中1年)=213
▽13―14歳男子(ラ・ヴァレ・コースタルC=6452ヤード、パー71)
【1位】シモシタ(米国)=200
【3位】高柳大河(愛知・鳴海中2年)=204
【10位】小澤優仁(東京・府中浅間中2年)=208
【18位】宮城ジョセフ(沖縄・Hope international academy3年)=211
【26位】吉行ローリ(広島・高屋中2年)=213
【54位】廣木直翔(佐賀・香楠中3年)=218
【61位】田子吏央斗(埼玉・埼玉栄中2年)=219
▽13―14歳女子(CCランチョ・ベルナルド=5959ヤード、パー73)
【1位】岩永梨花(兵庫・塚口中2年)=205
【3位】竹田妃菜(奈良・王寺北義務教育学校2年)=208
【8位】山本智亜紗(兵庫・山手台中3年)=214
【9位】工藤夏姫(青森・根城中2年)=215
【17位】佐藤心裕(兵庫・有野北中3年)=220
▽15―18歳男子(トーリー・パインズGCサウスC=7260ヤード、パー72)
【1位】ボーニング(米国)=214
【22位】中山大生(千葉・千葉黎明高3年)=222
【36位】渋川煌(大阪・大阪学院大高3年)=224
【36位】吉行アムロ(広島・広島国際学院高1年)=224
【74位】高浦維吹(千葉・昭和中3年)=229
【92位】小谷海斗(東京・代々木高3年)=232
【140位】西山陽斗(香川・四国学院大香川西高3年)=237
▽15―18歳女子(トーリー・パインズGCノースC=6236ヤード、パー72)
【1位】岩永杏奈(大阪・大阪桐蔭高2年)=210
【3位】仁科優花(千葉・第一学院高1年)=211
【3位】佐藤涼音(大阪・ルネサンス大阪高1年)=211
【10位】西澤美李(東京・共立女子第二高3年)=215
【10位】田村萌来美(茨城・ルネサンス高3年)=215
【44位】中山凜花(愛知・中部大第一高2年)=222
【協会広報ライター・赤坂厚】
雑観
15-18歳の部女子
15-18歳の部女子で岩永杏奈(大阪・大阪桐蔭高2年)がプレーオフを制して「世界一」を手にするとともに、妹梨花も13―14歳の部を制し、日本代表選手団では初めての「姉妹優勝」を飾った。
「少しでも多くバーディーを取りたい」と思って首位タイでスタート。3番でバーディーを取ったが6番ボギーで足踏み。8番で4メートルほどを沈めて通算6アンダーにして抜け出したが、そこからバーディーが来ず、パーを積み重ねる展開に。同じ最終組のアメリア・ハリス(オーストラリア)、チームメートの佐藤涼音、仁科優花が追ってきた。佐藤、仁科が5アンダーでホールアウトしたが、ハリスが最終18番で7メートルほどのバーディーを決め、岩永がパーで並ばれた。
10番パー5からのプレーオフ。女子日本代表全員が応援に来る中、第3打のアプローチが合戦。「クラブに迷いました。正規のラウンドの時に同じような距離をピッチングで大きかった。でも、アゲンストがその時より強かったのでピッチングを選択した」という岩永が右手前3メートル、ハリスが右上5メートルほどにつけた。先にハリスがバーディーパットを外した後「めっちゃ手が震えていた。でも次のホールには行きたくありませんでした。弱くて届かないと思ったけど、うまく入ってくれました」と、バーディーで決着をつけた。チームメートの拍手と歓声に振り返り、ちょっと照れたような笑顔を見せた。
世界ジュニアには2017年の7―8歳の部から挑戦してきた。念願の世界一を手にし「うれしいです。5回目で優勝できました」と笑顔を見せた。初日75と出遅れた。朝の練習の時に取ってもらった動画をコーチに送ってアドバイスをもらい「テークバックを大きくとるようにした」と修正。2日目に64のビッグスコアを出したのが、優勝につながった。日本代表選手団としては2017年大林奈央以来、日本選手としては22年中島七海以来の優勝となった。
来年は日本の女子プロテストを受験する予定。「今230~240ヤードのドライバー飛距離を250ヤードぐらいに伸ばすようにしたい」と課題に取り組む。
13-14歳の部女子
13-14歳の部女子で岩永梨花(りんか、兵庫・塚口中2年)が初出場で優勝、15―18歳の部で優勝した姉杏奈に続き「姉妹世界一」を達成した。
正規の18ホールを終えた後、スコア提出所へ行くまで「半泣き」だった。「16番のバーディーで相手(スード=インド)に並んで、17番のボギーで1打負けた、と勘違いしていたんです。18番で2人ともパーだったので、負けたと思って」という。スコアカード提出所でスードのスコアをみてプレーオフと知った。逆にプレッシャーがそがれたのかもしれない。18番パー5での1ホール目、先に3メートルのバーディーパットを決めた。ソードは2メートル強だったが「その距離を今日は入っていなかったので」という読みが当たって入らず、優勝が決まった。
「うれしいんですけど、1メートルのパットを4,5回外したり、プレーの内容が悪すぎて」と笑顔が浮かばない。それでも、3日間全体については「内容的には良かった」と話した。勝てた要因は「よくわからない」と首をひねり「ラッキーな部分があったと思う。長めのパットが入ったり、アプローチで強かったのがピンに当たってお先の距離に止まったり」と振り返った。
前夜は姉と「姉妹世界一、頑張ろう」と話したという。姉が初優勝を果たしてから約4時間後に姉同様にプレーオフを制して優勝を決めた。世界ジュニアに出場している姉をみて「海外に行けていいなと思った」と、PGM日本代表戦選抜大会に6歳以下の部から挑戦し、9年目でやっと果たした初出場で満を持していたように「世界一」を手にした。
次の目標は8月の日本ジュニア(12-14歳の部)で「優勝を目指したいです」といい課題として「ショートパットの制度」を挙げた。想像していたよりは「レベルが高かった」という世界ジュニアを制して、自信がついた様子だった。
11-12歳の部女子
11-12歳の部女子で本村彩歌(兵庫・宝塚中1年)が2位に4打差をつける通算10アンダーで世界ジュニア初優勝した。
「うれしいですけど、今日はいいところと悪いところがあった」と、ちょっと反省したのは、アプローチのミスがあったこと。それでも、ミスしたホールは4メートルほどのパットを入れて、崩れることはなかった。
ピアウォラサック(タイ)と首位に並んでスタートし、2番でピアウォラサックがボギー、本村がバーディーで2打差がついて「いけるかな」と気持ちが楽になったという。ハーフを折り返した時点で、上位にいるチームメートの日本勢も伸び悩んでいたことで、さらに気持ちが前向きになった。後続に2打差をつけての17番。1メートルにつけてバーディーを奪ってほぼ優勝を手中に。それでも気を抜かなかった。最終18番でも1メートルにつけて、連続バーディー・フィニッシュで初めての優勝に花を添えた。
これまで何度も優勝争いをしたが、初めて世界一のトロフィーをつかんだ。「今年はチャンスイヤー(カテゴリーで上の年齢)で、勝てた。去年ボロボロだったコースなのでいやだなと思いながら来たけど、1年たって飛距離も伸びて楽にコースを回れた。来年は1つ上のカテゴリーになるけど、勝ちたいです」といい「2日目に1メートルぐらいのパットを4回外したので、これからは1メートルのパットを外さないように練習したい」と、早くも来年への課題を挙げていた。
7-8歳の部女子
7-8歳の部女子で初出場の小澤蘭(東京・幸小3年)が、通算2オーバーで逃げ切り優勝した。
「めちゃくちゃうれしい」と満面の笑顔。首位でスタートし、1、2番でともに1メートル、3、4番で2~3メートル4連続バーディーを奪って、後続を引き離した。インでも2つバーディーを取った。ボギー2つをたたいたが、3日間のベストスコア4アンダー68で回って、2位のドーマン(イングランド)に9打差の圧勝だった。それで、優勝したと思ったのは「18番」と話した。
大会に来る前は、アイアンの縦距離を合わせる練習と、パターマットでまっすぐのラインのパッティング練習をしてきた成果が出た。日本よりもフェアウエーが固く、ラフも深い難しさがあったが、ドライバーがまっすぐ飛び、セカンドも正確に打てたのが勝因だった。
「トロフィーが重かった」という。米国に来て楽しかったのは「ラウンドが終わった後のプール」と笑う。びっくりしたことは「ハンバーガーが大きかった」という。「来年も連続優勝したい。今日よりもいっぱいバーディーを取る。2打目をつけてパターで全部入れる」と、力強かった。