<キャロウェイ世界ジュニアゴルフ選手権>

◇最終日◇19日◇米国・トーリーパインズGC◇15-17歳の部男女

 女子で、永井花奈(東京・日出高1年)が通算3オーバー291で7位に食い込み、10位までに与えられる来年のシード権を獲得した。イーブンパー72で回った野口彩未(熊本・熊本国府高3年)が通算5オーバー293で10位(年齢制限で来年シード権なし)。蛭田みな美(福島・学法石川高1年)はシード権に1打及ばず、通算6オーバー296で15位だった。男子でただ一人、決勝ラウンドに進出した下田雄大(東京・堀越高2年)は通算10オーバー298で32位に終わった。優勝は男子が通算5アンダーでホセ・メンデス(コスタリカ)、女子は通算9アンダーで2位に7打差をつけたマリエル・ガルディアーノ(米国)だった。
【IJGA広報ライター・赤坂厚】

<マクドナルドカップ日本代表チーム最終成績>
 
▽15―17歳の部男子(パー72)(1)メンデス(コスタリカ)283(32)下田雄大(東京・堀越高2年)298
 
▽同女子(パー72)(1)ガルディアーノ(米国)279(7)永井花奈(東京・日出高1年)291 (10)野口彩未(熊本・熊本国府高3年)293(15)蛭田みな美(福島・学法石川高1年)296

【大会雑観:最終日】

永井花奈

15-17歳の部女子で永井花奈(東京・日出高1年)が、苦しみながらも来年のシード権を獲得した。「やっちゃいました。パットが入らなくて35パット」と、4位スタートも75をたたいて追い上げできず、ホールアウト直後はがっくり。6番パー3で左の池に入れるダブルボギーで流れを失った。それでも、ほかの選手もてこずったこともあって7位に残り、シード権(10位タイまで)を手にした。「パターがもうちょっと入れば、という気持ちはあります。ショットはまとめられた」と今大会を振り返り、来年に向けては「ただグリーンに乗せるのではなく、乗せる位置を気にしてやらないと。4日間のピンポジションは書いてあるので、役立てたい」と、課題を挙げていた。(トーリーパインズGCノースC=6228ヤード、パー72)

野口彩未

15-17歳の部女子の野口彩未(熊本・熊本国府高3年)が最終日にイーブンパー72と踏ん張り、10位フィニッシュした。初日70の2位で飛び出したが「気持ちを引き締め直せなかった。まだまだ甘いです。芝の違いに焦ってしまって、小技が通用しなかった」と2、3日目にズルズル後退したことを反省した。11番で母からもらったネックレスが切れているの気づき、気持ちが動揺したという。「第2打が木になっている松ぼっくりに当たってしまって」と不運も重なり、ボギーにして気持ちが落ち込んだ。それでも「こんなんじゃ、ママは喜ばない」と気合を入れなおして、13、15番でバーディーを奪って、トップ10入り。年齢制限で来年は出場できず、この後はプロを目指す。「初めて日本の予選に出て初めてこの舞台に来られて、いい経験になりました」と、今後への糧にする。(トーリーパインズGCノースC=6228ヤード、パー72)

蛭田みな美

15-17歳の部女子の蛭田みな美(福島・学法石川高1年)が、1打の重みに泣いた。通算6オーバー296で、シード権に1打足りず15位に「あの3パットが…。1打差ですよね」と肩を落とした。スタート1番でいきなり3パットのボギー。4つバーディーを奪ったが、6番でも3パットするなど4つのボギー。2日連続イーブンパー72でじりじりと順位を上げたが、アンダーパーは出せずじまいだった。「この大会で、自分のいい流れになるときと悪い流れになるときの集中力の違いが分かった。うまくいえないんですが、集中力がないときにルーティンを一部抜いてしまうことが多い。2日目の大惨事(76)のときに考えました」と、収穫を口にした。「来年もまた来たい。アンダーパーを出したいので。体幹を鍛えて、ドライバーの飛距離を今の230ヤードから250ヤードにしたい」と、リベンジの目標ができた。(トーリーパインズGCノースC=6228ヤード、パー72)

下田雄大
15-17歳の部男子でただ一人、決勝ラウンドに進出した下田雄大(東京・堀越高2年)は「最後まで何をやっているのかわからなかった4日間でした」と32位に終わった。通算10オーバー298は、優勝したホセ・メンデス(コスタリカ)と15打差。「グリーンを狙うにしても、1つしか狙う場所がない。打った場所によっては3パット、4パットしてしまう。いい経験になった」と、難グリーンに苦しんだ。収穫もあった。「ラフからフライヤー(飛び過ぎ)になりやすいので、高く上げたり、番手を調整して、対処できるようになったのはよかった」という。17番に来たときに、たくさんのギャラリーに囲まれてスタートした最終組にじっと見入った。「スコアを書いたキャリングボードもあって、いいなあと思った。来年また来て、最終組で回りたい。ショットの正確性を鍛えます」と、意欲をみせた。(トーリーパインズGCサウスC=7319ヤード、パー72)

 

【井上透・国際ジュニアゴルフ育成協会(IJGA)代表理事総括】

 マクドナルドカップ日本代表選抜大会で日本代表チームをつくって、今年で3回目の挑戦となったが、高年齢層の人数を厚くし、昨年のシード選手も加わって、これまででもっとも強いチームで乗り込めたと思う。

 
2011年は6歳以下女子、2012年は7-8歳女子と6歳以下男子、今年は11-12歳と9-10歳女子、7-8歳男子と、優勝する年齢カテゴリーが年々上がっているのは、大きな収穫、成果だと思う。優勝すると、同世代への影響が大きいということだろうと思う。今後に向けては、13-14歳の男女にいい選手がそろっており、15-17歳の女子はすごい人数の優秀な選手を日本が抱えているので、楽しみにしたい。

 
今大会の世界のレベルを見ると、フィリピンが高年齢層で強くなっている。これまでの日韓中に加え、タイ、マレーシア、フィリピン、台湾と、アジア各国が世界のゴルフ界を引っ張っていくのではないかと想像させるほど、アジアが充実している。今のプロゴルフ界は韓国の1人勝ちの様相だが、数年後には勢力図が塗り変わるかもしれない。

 
石川遼選手が米ツアーで苦労しているが、やはり早い段階から世界を経験させることが大切。通用するためには何が必要かを考えて、日々の練習に取り組んでほしい。世界ジュニアで問われるのは対応力。同じルールブックでも、日本とは違う解釈をしている国もあり、戸惑うこともある。そんな違いを肌で感じるほうがいい。

 
今年はマクドナルドカップ日本代表選抜大会を全国5地区に広げたが、費用面などを考えると、沖縄や北海道での開催も我々の宿題として残っている。決勝大会進出の条件として最少スコアを設定するなどして、より多くの子供たちに世界への機会を与えるため、予選大会を増やしていくように努力していきたい。